歯ぎしりと噛み合わせ

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 子供の頃、寝ているときに歯ぎしりをしていると指摘されたことがあります。
 大人になってからも時々、起きた瞬間に激しく歯を噛み締めていた感覚が残っていることがありました。どうやらわたしは時々歯ぎしりをしているらしいです。
 歯ぎしりの原因はストレスだと言われています。歯ならびや合わない補綴物(歯の詰め物など)により起こることもありますが、最大の要因は心理的なものとのことです。(そんなにストレスの多い幼年時代だったのでしょうか?笑)
 歯を噛み締めることがストレスの発散になることは、マウスを使った実験でも立証されています。ただこの実験は、高ストレス状態にあるマウスを木片を噛んだ状態にさせる、というもので、噛み締めること自体というより歯の噛み合わせの高さを調整している可能性があります。
 歯の噛み合わせの高さとは、噛んだ時の噛み込みの深さを指します。例えば歯がすり減ると、今より深く噛み込むことになるわけで、これを「噛み合わせが低い」と言います。逆に歯科医の治療などでより口が開きぎみの状態で合うことを「噛み合わせが高い」と表現します。後者は自然界では起こらず、基本的に歯はすり減るばかりです。
 歯の噛み合わせの低さが、顎関節症とこれに起因する肩こり・頭痛など、様々な症候の原因になる、という説があります。これを治療するテンプレートというマウスピース状矯正器具を詳解している『歯のかみ合わせと病気』(前原潔)には、少し残酷なまでの動物実験の検証や、多様な症例が示されています。ここに、木の枝を噛ませることで治療する伝統療法が紹介されています。歯ぎしり実験のマウスと同じ状態です。
 何度も書いていますが、きちんと噛むことは歯根膜からの刺激などを通じ、全身に良い影響をもたらします。テンプレートや木の枝を噛み締める治療なども、ここから来ているのでしょう。歯ぎしりをしてしまうのも、ストレスから解放されようという意識できない働きから来るのかもしれません。
 しかし身体に良いのは「きちんと噛むこと」「噛める状態であること」であり、何もないのに噛み締めてしまうこと自体ではありません。人間の顎の力というのは尋常ではなく、普通に食事をする時に使うのが10kg程度の力なのに対し、奥歯の最大パワーは70kgにも達すると言われています。そんな全力で噛み締めたり歯ぎしりをしていれば、歯が摩耗するだけでなく歯肉や歯根にも影響し、ひいては顎関節症などにつながりかねません。
 テンプレートや「木の枝」治療は、要するに間に噛める何かを挟んであげることで、自然と歯の噛み合わせを高くしているのです。歯や顎に負担をかけずに噛める状態を作り出すのです。以前テンプレートを導入されている先生にお話を伺ったことがあるのですが、この時も「噛み締めることではなく、噛み締められることが大切」とおっしゃっていました。
 歯ぎしりを治すには、精神療法的アプローチが大切なようですが、同時にこうした「守り」の対策も施さないと、歯ぎしりが治る前に歯や顎がやられてしまうかもしれません。
 おそらく今は歯ぎしりしていないと信じたいのですが、そのうち誰かと添い寝でもする機会があったら、きちんと確かめておきます(笑)。
リンク:
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