ヨロヨロとアラビア語を学んでいます。
昼休みと通勤時間くらいしか使えないため、遅々として進みませんが、レベルが低いだけにちょっとの進歩が嬉しいです。どこからどこまでが一文字なのかすら謎だったアラビア文字を判読できるようになっただけでも、格段の進歩に感じられます。小市民なので、敢えてハタから見ないで小さな幸せを噛み締めておきます。
アラビア語を勉強するにあたって、本屋さんで色々参考書を物色したのですが、コレというものに出会えませんでした。「すぐわかるアラビア語会話」のようなものは興味が沸かないですし、一方で大学の教科書的な書籍も無味乾燥です。というか、最も王道と思われる大学書林のテキストは、ラテン語がさっぱりわからなかった学生時代の辛い思い出が蘇ってくるので使いたくないです。
前に紹介した『はじめてのアラビア語』の次として、最終的に選んだのは結局NHKラジオ講座。
各種言語で非常にお世話になっているNHKラジオ講座ですが、アラビア語はレギュラーでの放送枠がありません。短期集中講座のみです。
6つしかない国連公用語のひとつであるアラビア語がレギュラー放送されていないのには釈然としませんが、購入した短期集中講座のテキストとCDはアタリでした。
わたしのレベルには丁度良く、しかも異様に安い!
テキストが840円、CDが三枚で2,520円。絶対にそれ以上の値打ちがあります。
テキストの紙が、他のNHKラジオ講座と同じく安っぽいのも良いです。余白に書き取り練習しまくっても胸が痛みません。出てくるフレーズは片っ端から書き写しまくっています。
当たり前と言えば当たり前ですが、イスラーム関係のフレーズもしばしば登場しますし、コラムのコーナーも面白いです。
イスラームのことしか頭になかったのですが、コラムではアラブの料理やベリーダンスのことも紹介されていて「イスラーム以前からアラブはあるんだよね」という当たり前のことを思い知らされます。ベリーダンスはイスラーム的には褒められたものではないでしょうし、日本で「お稽古事」として行われている文化にはむしろ嫌悪感を覚えるのですが、ベリーダンサーに身をやつした暗殺者がナイフで喉を切り裂いたりするステレオタイプなイメージには、ちょっと惹かれます。とりあえず、腹が出せる立派な暗殺者を目指して鍛えておきます。ちなみに、ナイフは少し学んだことがありますが、ベリーダンスはまったくできません。
文字自体が未知の言語を学ぶときの楽しみは、とにかく字を書いているだけで心地良い、ということです。最初はたどたどしかった筆写が、だんだんそれっぽくなってくるだけで、ものすごいレベルが上がった気分を味わえます。意味がわからなくても、とにかく写します。
筆写や語学学習は、この「意味がわからなくても繰り返す」ことがとても大切だと思います。
これは学習メソッド的な意味で言っているだけでなく、「語学の精神的効果」を考える時にも重要な要素です。
確か坂口安吾が、仏教の勉強をしたくて大学の宗教学か何かに進学したのに、いくら勉強しても悟りが開けず、発狂寸前まで行った、という話を聞いたことがあります。この時安吾がとった「治療法」が、語学学習でした。アテネ・フランセに行って、ひたすらフランス語の勉強をしたのです。
語学が「治療」になるのは、多分「子供に返る」要素があるからでしょう。大の大人が「これはパンですか」「わたしは彼の姉に会いました」などと延々と繰り返していると、一回脳みそがバカになります。これが非常にリセット的というか、読経や筆写のような効果をもたらしているように思います。< わたし>がはじめにあるのではなく、他者の語らいがあって、< わたし>はその渦のようなちっぽけなものなのだなぁ、というのが感じられるのです。
もちろん、本当の子供なわけではないですから、学習としては意味や文法を捨てるわけにはいきません。
ただわたしの場合、そもそも最大の目的がクルアーンであり、文字通り「宗教的」です。何せ神様の言葉なので、多少意味がわからなくても普通です。アラブ人にはいい迷惑でしょうが、ラジオ講座のテキストも聖典のつもりで筆写しています。聖典に落書きしちゃダメですけれど。
ラジオ講座にはレギュラー枠がありませんが、テレビは週一でアラビア語会話があります。
NHKのテレビ講座は、はっきり言ってエンターテイメントですし、他の言語では使ったこともないのですが、数少ない無料の学習機会ですから、これも録音して聞いています。レベルがレベルなだけに、テレビ講座でも大いに参考になります。
今までテレビのことはずっとバカにしてきたのですが、アラビア文化マメ知識も身について、結構楽しいものですね。また、アラビア語の場合、文字という最初の壁がありますから、映像がついていることにアルファベット言語以上の意義があります。わたし自身は、テレビという媒体が非常に苦手なので音しか聞きませんが。
ちなみに、我が家にも昨年やっと買った14インチの液晶テレビがあるのですが、ここ半年くらいはブートキャンプ専用機になっています。
もう一つ学習教材に使っているのは、そもそもの目的であるクルアーンです。
もっとレベルが上がれば三田了一さんによるクルアーン対訳(正確には注解)を入手したいのですが(ムスリム・ムスリマ以外にも売ってくれるのかしら)、今はweb上にあるアラビア語テクストとmp3をipodに入れて利用させて頂いています。アラビア語になると「本物のクルアーン」ですから、折りたたんで手帳に入れたりしているのが怒られないか、ちょっとビクビクしています。
クルアーンの詠唱は山ほどデータが転がっているのですが、個人的にアラブ・イスラーム学院の公開されているデータが気に入っています1。詠唱ですから、通常のアラビア語とは違うのですが、録音がカッコイイですし耳に気持ち良いので繰り返し聞いています。超基本のアル・ファーティハ以外で好きなのは、アル・フィールです。前に大川玲子さんの訳を引用させて頂いた「象」の章です。「牝牛」とかは絶望的に長すぎるので聞きません。
いつまで経っても暗記できませんが、余生のライフワークだと思って気長にやります。
NHKラジオアラビア語講座も結構やりこんできたので、目星をつけていた次の教材にも手を出そうかと思っているのですが、挫折すると恥ずかしいので、まだ内緒にしておきます。
アル・ジャジーラが普通に聞ける日が、いつか訪れるのでしょうか・・・。
- アラブ イスラーム学院はサウディアラビアの御用機関的側面があり、Wikipediaには批判的意図の込められているらしい紹介がありますが、個人的にはむしろVIVAワッハーブ派!VIVA王族支配!なので、喜んで閲覧させて頂いております。
でもコミックまで載せてしまうのは、ワッハーブ的にどうなのでしょう。サウディでは子供向けの本でも、図像の頸部分に線を入れられ「偶像ではない」ことが示されているそうですが(『イスラーム主義とは何か』に写真があり、結構コワイです)、こちらのサイトでは余裕でキャラがアラビア語解説してくれています。まぁ、わたしはどっちでもいいのですけれど・・・。 [↩]

NHKラジオ アラビア語講座
『アラビア語講座[CD]―初歩からのアル・アラビーヤ』
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