『ファシズム』 山口定

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『ファシズム』 山口定『ファシズム』 山口定
 ファシズム概念の比較史的観点からの分析。1979年刊行書に加筆・訂正し文庫化されたもので、かなり古い本ですが大変良書です。ファシズムというのは実に曖昧模糊として、僭称として濫用される一方、大戦前の日本ですら「ファシズムなのか否か」で意見が分かれる鵺のようなところがあります。わたしとしては、むしろこの鵺っぷりにこそ注目したいのですが、本書は「運動としてのファシズム」「思想としてのファシズム」「体制としてのファシズム」を区別した上で、精緻な分析を加えています。
 あらゆる反動的現象に「ファシズム」のレッテルを貼ることを警戒し、「アカデミズムの堅実さを守らんがために」と自ら仰る王道路線。日頃大学人に罵声を浴びせてばかりのワタクシですが、久々に職業研究者の底力を感じさせられました。
 なんというか、「叩き台」になるような基本ですので、ファッショに関心のある方は一読されて損はないでしょう。
 大雑把な紹介ですいません。
 紹介したい本はいくらでもあるのですが、良い本に限って「書くならちゃんと書かないと」と思っているうちにどんどん時間がなくなっていきます・・・。

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