王子無職説


 「小口容子『ワタシの王子』」のコメント欄で、小口容子さんとSM談義に花を咲かせています。その中で、「王子無職説」という仮説が突然閃きました。
 「王子」というのは、理想的サディストを指す小口用語なのですが、

ish:
王子はやっぱり王子であって「王」じゃダメなんですか。「王」の扱いの低さが、前から気になっています。女のサディストは「女王様」なのに、男が「王様」とは絶対呼ばれないじゃないですか。いや、そりゃ呼ばないでしょうよ、というのは100パー分かっていますが、「王」がすっ飛ばされて王子に行くロジックというのは、何がしか語れるものがある気がしています。

 という小学生のような疑問を(ビクビクしながら)彼女にぶつけてみたろころ、素晴らしい答えが返ってきました。

小口:
だって、「王」はスレてそうじゃない?責任重くて仕事が多そうじゃない?(王子は暇なので、白馬に乗って助けに来てくれる)

 王子は暇! 理想的サディストは暇人のようです。
 百歩譲ってこれが真だとしても、逆が真であるか否かは全然別問題なのですが、面白いのでそのまま続けます。

ish:
なんというか、社会的に居場所があってちゃんとしちゃうと、エロの入る余地がなくなるというか、正気にかえっちゃいますね。
ダメな男とか甲斐性なしとかに惚れてしまう伝統というのが確実にあると思うのですが(シャレにならん)、「暇」というキーワードでつながるように思います。王子と無職は似ている!
今まで「ダメな男に惚れる伝統」は、単に「なんとなく優位な立場に立てるくさい」とか「世話を焼いている自分に酔っている」といったポイントしか見えていなかったのですが、王子だと思うとしっくりきます。あぁ、そんな王子はイヤだ・・・。

 これが王子無職説です。
 王子無職説とは、「白馬に乗って来てくれるセクシーな男は暇人に違いない、働いている男は忙しいし社会常識もあるから白馬に乗っては来ないだろう、故に王子は無職である」という、ツッコミ所満載の三段論法により導出されたエロ仮説です。

小口:
私もダメ男が大好きです。
っていうか、この社会に適応してちゃんと世間並みの年収稼いでる男なんて、憎んでます。
エロいかどうかどころか、お互い話題すらないと思うので。
年収500万円超える男になんか、絶対、痛いのは許容しません!

 「年収500万円超える男は許さない」!
 半端ないです。万国のモテない甲斐性なしを一斉に救済するようなお言葉です。マゾヒストというより女神じゃないですか。
 念のためですが、これを言ったのは小口さんであってわたしではないですからね。わたしは心が広いので、年収500万でも1000万でも大歓迎ですよ。

 上でも書いていますが、長年気になっていた「ダメな男に惚れる伝統」の謎が一気に氷解したような思いです。王子だと思えばすべて合点がいきます。
 無職とかフリーターで卑屈になっちゃっているモテない男性諸氏は、いっそ出世の方は諦めて、王子を目指されてはいかがでしょうか。エロ一点突破です。
 小口さんの王子は非常に理想が高く、常人には理解し難い超高度な言葉責め(「チラシ持ってきて」など)を操れる必要がありますが、社会適応度の低い人に限って、そういうわけのわからないところでは異様な才能を示したりするものです。ちなみに、小口さんは仕事もデキてお酒も強いイイ女です。逆玉も夢じゃないかもしれませんよ!
 白馬は無職には敷居が高いと思うので、とりあえずは自転車でも良いのではないかと思います。

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