新宿駅東南口のストリート・ミュージシャン


 サイトに予告があったので、藤田一道さんを見に新宿駅東南口へ。
 時間は過ぎているものの、演奏は始まらず。すぐそばで演奏しているバンドに遠慮して(?)、終わるのを待っているらしい。
 ようやく始まろうとしたところで、警察官二人が。通報があったらしく、撤収を求められる。
 しかし警察官も威圧的な雰囲気ではまったくない。「ごめんねぇ。いや、こっちも一応取り締まってるって風にしないとさ、具合が悪いから」。お互い勝手を知ったもの同士、という様子。
 撤収の準備を始める藤田さんに話しかけてみると、わたしのことを覚えていてくれている。
 階段を登り、東南口すぐの場所に移動。そこでは別のストリート・ミュージシャンが準備をしていて、藤田さんとも顔なじみの様子。彼らの演奏後、少しだけやらせて欲しい、というショバ交渉。先ほどの警察官とのやり取りといい、ビデオカメラを持ってきて「取材」すれば良かった、とも思う。
 先客のバンドのギタリストが、曲を弾くともギターと戯れるとも言えない調子で、音を出し始める。藤田さんも横でハーモニカを吹いている。

新宿駅東南口のストリート・ミュージシャン

 キチンとした「演奏」より、こういう自然発生的セッションの風景が美しい。
 ギターのセッティングだけして、しばらく場を先客のバンドに預ける。藤田さんは離れた場所でキョロキョロしている。さっきの警察官がまた来ないか、警戒しているらしい。
 警戒も虚しく、不意に警察官が現れる。藤田さんは走ってギターのところに戻り、大急ぎで再撤収開始。先客のバンドも曲の切れ目で切り上げる。このバンドは活動休止前の最後のストリートだったらしく、気の毒だ。
 結局本日のプレイはなし。ディスクを一枚買って帰る。

 先週は気付かなかったが、藤田さんはかなりガタイがいい。きちんと鍛えるか、余程ハードな労働をやっていない限り、ああいう身体にはならない。なんとなく、ラグビーのような気がしたが、ただの勘なのでわからない。格闘技ではないと思う。

 最近、大嫌いな新宿が、少しだけ好きになった。

4434075608 路上音楽―ストリート・ミュージシャンズ・バイブル (DDブックシリーズ)
青柳 文信
マガシンファイブ 2006-06