「常に自分が主役」で「必ず脱ぐ」孤高のマゾヒスト映像作家小口容子。その2005年作品『ワタシの王子』を拝見しました。

「王子」とは「理想的サディスト」を指す彼女の用語。
作品は、「王子」を求めSM伝言ダイヤルに電話する彼女の、無言のモノローグとして展開します。
正確には、そこにあるのは「展開」の無さ自体です。自意識を消滅させてくれる「王子」は、決して現れません。それを予期しながら、小口は電話をかけ続け、男と会い続ける。現れる男は「王子」に程遠く、善良で害がなく、ただ照れ隠しのような世間話を話続ける。
若い男はどうでもいいことをしゃべり続ける
そんなことはいいから早く
自由がきかないようにして、そこの床の上に転がしてくれ
それを聞く小口も、世間なみのそれなりに安全な女になってしまっていることに、多分気づいている。
私はあいづちを打ちながら
遠くにいる気がしている
ときどきふと気づく
やはり自意識を捨てることができない
そして、「王子」ではなかった男たちが、「ただただ必死だったように見える」という小口は、彼らこそ「自由がきかない」者であり、しかも物質ですらなく、ただの哀れな不具であることも、わかってしまっています。
自意識を捨てて「モノ」になることではじめて成り立つことなのに
今までそんな王子に出会えたことがない
そう、「王子」は永遠に現れません。しかし、出会いとは正にこの「出会い損ね」自体です。
これは死ぬまでの徒労なのだろうか
わたしの現時点の結論は、この徒労そのものが、主がわたしたちに与えた責苦であり、「プレイ」である、というものです。
小口さん、あなたが神を信じないことが不思議でならないのですが、もしかするとそれは矛盾ではなく、その信じなさ自体が、あなたの「プレイ」を成立させているのかもしれません。
「自らの意志を捨てられる相手に出会うなど、あり得ない・奇跡のようなものだ」というあなたは、「王子」こそ「モノ」の領域にあり、究極のマゾヒストと「王子」がほとんど同一の点に収斂することに気づいているでしょう。
それは眼差しの点、直視することのできない「見ることを可能にしている何か」の場所です1。自意識とは、黒点観察のために煤の塗られたガラス板のことです。
一つだけ例外があるとしたら、それはわたしです(断言)。
わたしが「サイボーグ」であるのは、少なくとも部分的に「モノ」であり、「出会ってしまった」マゾヒストとしてです。「王子」の可能性を備えたものがあるとしたら、「出会ってしまった」マゾヒストしかありえないでしょう。「王子」とは、物質の場から不遜にも戻ってきた者のことだからです。
とはいえ、なってみると驚くべきことに依然自意識があり、さらに今ではすっかりマンネリ化して、一周回って平凡な女になってしまいましたが・・・。
でも間違いなく、わたしが「王子」になったら殺すまでやってしまうでしょうし、もっと根本的なところであなたの欲望にそぐわないはずですから(笑)、テキトーに飲んだくれて遊ぶだけにしておきましょうね。
なお、この作品は、11/17(土)11/18(日)に渋谷UPLINK FACTORYにて上映されます。興味のある方はどうぞ。
わたしの知る数少ない真の侠客、任侠マゾヒスト(勝手に称号)小口容子の裸体も見られます。
個人的には、メガネ姿の方が萌えますけどね・・・。
追記:
例外的にこのエントリはコメント欄を開きますが、基本小口容子本人専用なので、関係ないコメントは速攻消します。
追記2:
と、思ったけど、女子限定でどうしても書きたい人は書いていいです。なぜ女子限定なのかは、差別したいから。もっと適切な敷居にしたかったけれど、考えるのが面倒なのでそうします。本当は想定しているブロガーが三人くらいいるので、具体名を書くくらい差別したかったのですが、書いても本人がこの更新に気づかない可能性大なので抽象化しておきます。

小口容子『ワタシの王子』

“本人専用コメント欄”ってなんやねん。
特別扱いで嬉しいです♪
やー、“任侠マゾヒスト”の称号までいただき…それは褒め過ぎですが…。
はい、私の人生のテーマは“肉体と精神の乖離に常に悶々としつつ、肉体と精神の欲望が一致する瞬間を求めて、王子捜しの営業活動をする”というものです。
しかも、代替不可能な、“絶対的な愛”を捧げるべき王子など私の頭の中にしか存在しないことなどわかっていますが、わかっちゃいるけどやめられないのです。
そのため、私の準ストーカー的直線行動の犠牲になった方も何人かいらっしゃいます。ほんと、すみませんでした…(笑)。
でも、煩悩が強いので、やっぱり神じゃなくて人間がいいのですが。
確かに現れない王子を夢見てあらぬ妄想をし続けるのが、私の“一人SMプレイ”です。
一人で何役もできるので、自分だけで既に成立しております。
そして、でも、
>一つだけ例外があるとしたら、それはわたしです(断言)。
>でも、間違いなく、わたしが「王子」になったら殺すまでやってしまうでしょうし、
とまで言われるとやはり心の深いところにグっときちゃうのですが、確かにお互いたいへん困ったことになるので、妄想ネタにとどめることとします(笑)。
ともあれ、ありがとう♪
ところで、“スシ王子!”とかって何なんですか、なんとかならんのですか。ならないですね…。
Posted at 2007.10.3 19:53:42 by 小口 容子
スシ王子、「王子」でググっていたときにわたしも気になりました。まぁ色んな王子がいますからね。ジャニーズとかさっぱり理解できないんですけれど。
ところで、これは喧嘩売ってると思われそうで書けなかったのですが、王子はやっぱり王子であって「王」じゃダメなんですか。「王」の扱いの低さが、前から気になっています。女のサディストは「女王様」なのに、男が「王様」とは絶対呼ばれないじゃないですか。いや、そりゃ呼ばないでしょうよ、というのは100パー分かっていますが、「王」がすっ飛ばされて王子に行くロジックというのは、何がしか語れるものがある気がしています。でもマジでお怒りになりそうなので、ムカついていたら速攻この話題は撤回します(笑)。
そう言えば今思い出しましたが、わたし、SM系のコスプレイベントとか出たことありますわ。わたしはそんな激しいカッコしたわけじゃなくて、普通のクラバー服+αくらいだったけど(長手袋とか♪)、色んな人が見られて面白かったですよ。M男の人にオズオズと「一緒に写真撮らせてもらえますか」とか言われました。めっちゃ礼儀正しい。でもチョウチョみたいな目隠し?してチ○コ丸出し(笑)。
小口さんはコスチュームとかそっちのSMには興味ないんですか? あんまりなさそうですけれど。純粋なファッションとして、PVCとかはカッコイイと思いますけれど、この文脈のSMとは別物な気もします。
一度泥酔して試しにヤッてみるか! そして朝、場末のラブホで徐々に記憶を取り戻しながら、もんすげー気まずい空気で「それ、あたしのブラ」とか言ってみるか! 最悪ですね・・・。
Posted at 2007.10.3 23:50:36 by ish
あら、なんと過激なことを…。クラクラきて倒れます…。
でも、泥酔しないとヤれないんでしょうか(笑)?
それはお互い相当グラスをカラにしないと〜、なので敷居が高いですね!
ところで、私にとって「王子」というのはただの記号というか、少女趣味な意味で“純粋”とか“理想的”を体現する、白馬に乗ってるイメージでしかありません。
思想じゃないですから。
だって、「王」はスレてそうじゃない?責任重くて仕事が多そうじゃない?(王子は暇なので、白馬に乗って助けに来てくれる)、という程度のものです。
だから、そんな怒るとか思われてるのもわからないし、単に私にとって「王」にはピンとこないだけなのですが。
そんなだから“スシ王子!”のこともほんとは文句言えないです。
それから、SMファッションは興味ないです。
というのも、私は耽美・美学系が生理的に嫌いなんです。
あと、無理な感じも苦手。
あのファッションは美学と無理がないとできないですよね。
他人のを見てソソられもしないです。
そう考えてみると、石責めとか逆さ吊りとかの“基本”も、全然興味ないです。
マゾヒストとしては、全く四流です…。
Posted at 2007.10.4 23:41:48 by 小口 容子
面白いのでしつこく話を展開します。
>王子は暇なので、白馬に乗って助けに来てくれる
これは何気に重要なポイントな気がします。「暇」! そう、王子は暇なんですよね。
なんというか、社会的に居場所があってちゃんとしちゃうと、エロの入る余地がなくなるというか、正気にかえっちゃいますね。
ダメな男とか甲斐性なしとかに惚れてしまう伝統というのが確実にあると思うのですが(シャレにならん)、「暇」というキーワードでつながるように思います。王子と無職は似ている!
今まで「ダメな男に惚れる伝統」は、単に「なんとなく優位な立場に立てるくさい」とか「世話を焼いている自分に酔っている」といったポイントしか見えていなかったのですが、王子だと思うとしっくりきます。あぁ、そんな王子はイヤだ・・・。
現実問題としては王子より王の方が絶対優秀な「カレシ」なんだけれど、むしろそこが抜けている方がファンタジー的には盛り上がる。そして、ファンタジーに負けて現実が見えなくなるのがダメな女(笑)。
SMファッション、あんまりキワモノになるとダメですが、革とかビニールとか金属とか好きなので、わたしは割りと憧れます。ただ、エロとはちょっとズレる気がする。エロくなるには自分を騙すというか、それこそ自意識を捨ててファンタジーに没入しないといけないのですが、なまじファッションとか揃えちゃうとツッコミ所が大きくなりすぎて、自分を騙し続ける自信がなくなってくる(笑)。
わたしがボンデージについていいなぁ、と思うのは、メカっぽいところですね。それこそサイボーグっぽいです。タトゥーとかピアスも好きですし。
あ、痛いの苦手なんでしたね。って、じゃぁSMできないやん! プレイはいいの? なんとなく、ムチとかローソクとか定番アイテムも今ひとつ興味ないんじゃないかと予想するんだけど。「拘束」ってところがポイントなのかしら。
また突然思い出したけど、そういえばわたし手錠持ってるわ(痛くないようにポワポワのついた軟弱手錠)。多分、探したらどっかにまだあると思う(笑)。今度飲むときは一応持参していくか。その装備で絶対死ねないな。
Posted at 2007.10.4 23:58:47 by ish
調子にのって、続けます♪
痛いのダメなのに、敢えて、それを許容する特別な相手にやられるのが、いいのです。
とは言っても残念ながら、痛いのを許容した経験自体がないですが…。
私の90パーセントは妄想でできてます…。
ムチもローソクも興味無しです。
私がくるのは、“言葉”です。
言葉責め、までいかなくても、イケます(性的プレイである必要すらありません)。
好きな人からの、正面切って私を諫める言葉とか…、
好きな人からの、「あのチラシ取ってきて」というメールとか…、
今、「ただのちょっとした頼み事やん!」とツッコんだと思うけど、違います。
好きな人からだったらすべて“命令”ですから。
3べん回ってわん、と言って喜んで取ってきます。
あと、アンケートとかに「なんなんですかこのバカ女は」(もちろん、無記名)とか酷いことを書かれるのもぐっときます。
どんどんSMではないような気がしてきましたが…。
あと、私もダメ男が大好きです。
っていうか、この社会に適応してちゃんと世間並みの年収稼いでる男なんて、憎んでます。
エロいかどうかどころか、お互い話題すらないと思うので。
年収500万円超える男になんか、絶対、痛いのは許容しません!
まぁ、こんな自分ルールも、まず適用する機会がないから意味ないですが。
Posted at 2007.10.5 20:51:03 by 小口 容子
言葉が超重要なのはわかる! 左脳が来る来る(笑)。やっぱ言葉責めッス。
それはわかるんだけど、、「あのチラシ取ってきて」はわからん! 言われても100%ヨクジョーしないし、責め側として口にしようとも思わない。うっかりそんなことでヨクジョーされてたらビビるわ(笑)。チラシ取ってきて欲しいだけなのに。
わたしはもっとオヤジエロとか、一般に「言葉責め」と言われている類でお腹一杯だなぁ。シチュエーション萌えですね。やっぱりエロはロールと切っても切れないから、「あっいけないっ こんなことしちゃってっ♪」みたいのがエロいんだと思います。小口さんの「言葉」はちょっと違うのかなぁ。チラシがシチュエーションとは思えないしなぁ。高度すぎる。それ、王子の敷居高すぎですよ(笑)。要件「チラシを使いこなせること」だもん。
エロい男は適応できないのか、適応できていないからエロいのか、結構相互作用がある気がします。でもわたしは、お金ある男も好きですよ、ちゃんと(笑)。表面適応していて、かつエロかったら言うことなしだね! そんなのいないけどね! わたしはお金も好きだからなぁ。もう、大好き。自分で稼ぐからいいけど。
「年収500万円以下であること」要件は、全国のモテない甲斐性なしに希望を与えてるよ! 女神だよ女神! 「チラシ取ってきて」を使いこなせないとダメだけど。
要件整理して、わたしが募集してみようかな。高度なヒアリングやなぁ。実装者が地球に実在するのかしら・・・。
とりあえず、このコメント欄を「小口容子と変態女専用板」と名付けた!
Posted at 2007.10.6 8:54:19 by ish