弾き語りギタリスト藤田一道さん@新宿駅東南口


 ストリート・ミュージシャンが大好きですが、生音原理主義者なので、どうもアンプを使っている人たちに惹かれません。
 楽器によってはアンプがないとお話になりませんし、まして新宿駅前のような喧騒ではどうしようもないとは思うのですが、電気の力に頼っているのがどうもストリートらしくない気がしてしまうのです。脇で発電機が唸っていたりしたら、演奏がどんなに素晴らしくても即スルーです。
 最近はオケを流して歌っているボーカリストなどもいますが、「路上カラオケかっ」とツッコみたくなります。まぁ、別に路上でカラオケしちゃいけない理由もないですし(法的にはあるかもしれない)、どんどん好きなだけ歌ったら良いとは思いますけれど。
 そんな「アンプ嫌い」で、今ひとつ「歌もの」に惹かれないわたしが、アンプの上に座って弾き語りするストリート・ミュージシャンに足を止めてしまいました。藤田一道さんという方です。

弾き語りギタリスト藤田一道さん@新宿駅東南口

 最後の一曲の時に通りがかったので、演奏を聴いたのは本当に短い時間なのですが、この人は本物です。
 まず、純粋にギターが上手い。別段トリッキーなことをしているわけではなく、普通にアコギとハーモニカで弾き語りをしているのですが、全力で弾くことを知っているギターです。少なくとも、全力に見せる大切さは知っている(笑)。
 そして「歌」に特段惹かれるところのないわたしが足を止めるほど、コブシにインパクトがある。とても思い切りが良い。音楽をやっている人が見たら雑な部分もあるかと思うのですが、とにかく吹っ切れて思い切り歌えている印象を受けます。その「思い切り」が、「頑張って思い切ってみました」の「思い切り」ではなく、あるがままの「思い切り」です。最初からブレーキがついていない感じ。
 さらに歌詞がイイ。心が凝り固まりまくり、感情と言えば「怒」デフォルトのわたしが、思わず頬を緩ませてしまうような、楽しくてかつホンワカした歌。サービス精神満点でありながら、媚びている感じがしない。徳島県で生まれ、ヒッチハイクでアメリカ横断というプロフからして、もう本当に素直にど真ん中なのでしょう。上京する前にアメリカに渡っちゃう勢いも好きです。
 思わずディスクを買ってしまったのですが、このジャケがまたイイ。

藤田一道

 確かに違う(笑)。

 ストリートで良い人はレコーディングだと今ひとつなことが多いので、覚悟して聞いたのですが、申し訳ないですがやっぱりストリートの方が格段にイイです。これは褒めているつもりなので、勘弁してください。予想通り、ド派手にパン振りまくって、ヴォーカルがすごく「近い」録音です。
 まだ部屋でしか聞いていないので、今度iPodに入れて別のシチュエーションでも聞きなおしてみます。良い曲はファーストインプレッションが取っ付きにくく、何度も聞いている内に真価がわかってくることが多いので、むしろ幸先良いかもしれません(単に録音初聴で価値を見抜く力がわたしにないだけ)。でも、この人はちょっと頑張ってもストリートかライブで聞きたいなぁ。
 わたしが足を止めたズバリその曲「恋人ホイホイ」のストリート演奏を撮影した動画がありました。

 オーディエンスがクスクス笑う声が入っていますが、わたしも思わず微笑んでしまいました。
 「藤田一道」で検索すると、結構動画がポストされています。

藤田一道@魔法のiランド
藤田一道のブログ「一言でもエエ?」

 藤田一道さん、貴方が今後メジャーデビューされるかどうかはわかりませんが、売れようが売れまいが、貴方のような人には一生ストリートで歌い続ける義務があります。神様はいつも路上を見ています。歌もダンスも、狭苦しい防音ルームではなく、神様から良く見えるところでやるから意味があるのです。
 お金がなかったら、可愛い彼女を作ってヒモになりなさい。もうヒモなようなら、安心です。